新聞記事




◆鶏鳴新聞2018.5.25発行

サルモネラ食中毒で鶏卵2億個リコール 米国ローズ・エーカー・ファームズ

米国食品医薬品局(FDA)は4月13日、米国の鶏卵生産大手のローズ・エーカー・ファームズ(本社―インディアナ州セイモア、2017年全米飼養羽数ランキング2位、2690万羽)のハイド郡農場(ノースカロライナ州)で生産した鶏卵が原因と推定されるサルモネラ食中毒が発生したため、同社が生産した卵を自主的にリコールしていると発表した。

リコールの対象は、今年1月11日から4月12日までに生産した鶏卵2億674万9248個。ただし、多くはすでに消費または廃棄されたとみられる。同農場のパック卵は、「コバーン・ファームズ」や「カントリー・デイブレイク」「フード・ライオン」「グレンビュー」「グレート・バリュー」など10種類前後のブランド名で販売されていたほか、同業で全米最大手のカルメイン・フーズや、レストランなどにも販売されていた。このためカルメイン・フーズも4月16日、ローズ・エーカー・ファームズから購入しフロリダ州で販売した鶏卵2万3400ダース(約28万個)の自主的リコールを発表した。

発症例は4月16日までに、東海岸を中心とした9つの州で5歳から90歳まで23人分が当局に報告され、うち6人が入院したが、死者は出ていない。患者からはサルモネラ・ブラエンデラップ(Salmonella Braenderup)という珍しい種類のサルモネラ菌株が検出され、同農場で採取したサンプルからも同一の菌株が検出された。

ハイド郡農場では約300万羽を飼養し、1日当たり鶏卵生産量は約230万個。米国農務省(USDA)の検査員も常駐している。

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◆鶏鳴新聞2017.5.25発行

AI国内侵入株 少なくとも5系統 4系統は韓国ウイルスと重複

 農林水産省は、昨秋から今春にかけての高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)発生を踏まえた改善策の検討を進める。農場段階の侵入防止策は、疫学調査チームが6〜7月にまとめる疫学調査報告書を基に、具体的な対策を助言・指導していくほか、防疫措置従事者や資材の確保、殺処分鶏などの迅速な処理、移動制限や制限の例外適用の迅速な周知なども改善していくことにしている。第2回検討会では、ウイルスが韓国を含む「環日本海」に広く持ち込まれたことなどが確認された。

 農林水産省の高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)疫学調査チームは5月11日に第2回検討会を開き、平成28年11月から29年3月にかけて、9道県12農場で発生したH5N6亜型AIの現地調査や、分離ウイルスの遺伝子解析などに基づき発生要因を検討。報告書は今年6〜7月をめどにまとめることにした。
 検討会では、発生農場が全国(発生順は青森、新潟、北海道、宮崎、熊本、岐阜、佐賀、宮城、千葉)に分散している点が、野鳥での広範囲な発生状況(22都道府県218事例)と類似していることや、池や沼、川が家きん舎の近隣にある発生農場が多い傾向が確認された。
 分離ウイルスは、遺伝子解析の結果から「韓国で確認されたウイルスと由来が同じ」と考えられ、野鳥も含めた同ウイルスの遺伝子レベルでの比較では「少なくとも5系統のウイルスが国内に侵入し、このうち少なくとも4系統のウイルスは韓国で確認されているウイルスと重複していると考えられた」とした。
 鶏への感染性や致死性は、ウイルスの感染実験結果から「過去のH5N1亜型ウイルスより低下している可能性」があるものの、各事例とも死亡数の増加が確認されたことから、「早期通報において死亡数の増加が指標として引き続き重要と考えられる」としている。
 ウイルスの国内への侵入経路については、過去の事例と比較して早い時期(11月初旬)から、渡り鳥によって広く日本に持ち込まれたとみられ、韓国での発生状況と併せると、「日本全域、韓国を含む環日本海の地域に、ウイルスが広く持ち込まれた」とみている。
 さらに、3月下旬の宮城県と千葉県での発生を踏まえ、「渡り鳥の春の渡りの時期にも、警戒が必要であることが再確認された」としている。
 家きん舎への侵入経路については「発生状況や飼養衛生管理状況などから現在、特定の経路から家きん舎内にウイルスが持ち込まれたことを示す情報は得られていない」ものの、発生農場の特徴として「家きん舎の近隣に池や沼、川がある場合が多い傾向が確認された。このような農場では、周辺に野鳥などの飛来が多く、家きん舎周囲にウイルスが増加している可能性があるため、家きん舎内への野生動物の侵入防止対策はもちろんのこと、人が家きん舎に出入りする際、靴底や、持ち込む物も含めた消毒などのさらなる徹底が必要」と強調している。

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◆鶏鳴新聞2016.2.5発行

鶏肉19〜36億円、鶏卵26〜53億円 政府がTPPによる生産減少額試算

 農林水産省は1月12日、食料・農業・農村政策審議会企画部会を開き、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉の大筋合意を受けて、試算した農林水産物の生産額への影響や対応策などを報告した。
 農林水産物の生産額への影響は、関税率10%以上で国内生産額10億円以上の農産物(19品目)と林水産物(14品目)について、TPP大筋合意内容や、TPP関連政策大綱に基づく総合的対応を考慮して農水省が算出したもので、生産額は約1300億円〜約2100億円(うち農産物は約878億円〜約1516億円額)減少するが、食料自給率(26年度のカロリーベース39%、生産額ベース64%)は維持されるとしている。
 このうち鶏肉、鶏卵への影響について、大筋合意後は「TPP参加国からの輸入は、用途が限られているため、国産品との直接的な競合はほとんどない見込み」だとしていたが、今回の生産額の試算では、鶏肉は約19億円〜約36億円、鶏卵は約26億円〜約53億円減少するとしている。
 ただ、TPP交渉参加時の平成25(2013)年に農林水産業の生産額は約3兆円減少、鶏肉や鶏卵についても、加工用や業務用向けの輸入量が増加するため、鶏肉の国内生産量は20%、生産額は約990億円、鶏卵の国内生産量は17%、生産額は約1100億円減少するとしていた試算に比べると、分析手法が違うというものの、大きな差が出ている。これに対し、かねてからTPP参加に反対の立場を表明していた東京大学大学院の鈴木宣弘教授の研究室グループの独自試算では、農業全体で1兆5594億円の生産額が減少するとしている。
 農水省は、長期的には「国産鶏肉、鶏卵の価格下落も懸念されることから、生産性向上、高付加価値化などの体質強化対策の検討が必要」としているが、鶏肉、鶏卵については、重要5品目のような具体的な対策は示していない。
 今後は、日本養鶏協会などが要望している@鶏卵価格の低下圧力に対応したセーフティーネット(鶏卵生産者経営安定対策事業など)の強化A生産・流通の各段階におけるコストダウンを可能とする合理化・大型化への支援B消費者の国産鶏卵志向向上のため、生産者自らが行なう啓蒙活動を促進するチェックオフなどの仕組み構築への支援C安全・安心の確保(鮮度・品質など含む)への支援D内外価格差が生じている要因分析と対策検討への支援E鶏卵製品や中食・外食での使用食材の原産国表示の徹底。
 日本食鳥協会が要望している@加工鶏肉や外食での原産国表示の徹底A鶏肉生産・処理段階での生産性向上と合理化を目指す施設改善への支援と、補助対象者へのインテグレーターの追加B配合飼料の価格安定対策の充実――がどれだけ対策として盛り込まれるか注目される。

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◆鶏鳴新聞2016.1.25発行

波乱の幕開け? 鶏卵相場は止市の85〜75円安、食鳥相場のもも・むね合計は30円安

鶏卵
 1月5日の初市相場(M加重)は、止市(12月26日)に比べ東京は85円安の170円(前年初市比10円安)、大阪と名古屋は80円安の175円(同10円安)、福岡は75円安の165円(同15円安)でスタートした。
 値下がりは年末年始の滞貨玉によるもの。荷受筋によると「12月中旬以降、各産地とも年始を控えた生産調整に入る一方、高卵価を受けて飼養期間を延長する動きもあった」ほか、需要面では大手加工メーカーなどが、2013年末の需給ひっ迫の経験などから積極的に在庫を準備したため、12月には手当てが弱まっていた。外食の「牛すき鍋」メニューなども、登場から3年目となり目新しさが薄れたことや、暖冬の影響もあって期待通りには振るわなかった。
 東京の初市が85円落ちとなったのは平成21、22年以来6年ぶりで、鶏卵関係者の間では生産・販売を問わず「予想外だった」との声が多い。このうち産地からは「せっかく(高相場を)積み上げてきたのに非常に残念」「乱高下すると経営計画が立たない」、中間流通や食品メーカーからは「実感として需給が緩和していたので予想通り」「高卵価時は資金繰りが厳しく、川下に価格転嫁できていない中でようやく下がった」などの声が聞かれるが、「高卵価が続いても、気を緩めると卵価はすぐに下がる。また同じことを繰り返さないための警鐘と受け止めたい」とする声も。なお、平成21、22年の年間相場はそれぞれ175円、178円だった。
 直近の相場展開については、初市の値下がりを受けて加工メーカーの割卵が始まり、量販店でも特売が企画されていることなどから、1月15日には東京で10円、19日に5円上昇し185円に。20日には大阪、名古屋、福岡でも10円上昇した。今後は、産地での生産調整による出回り量の抑制なども見込まれるほか、ようやく寒さが本格化する中、おでんや鍋、恵方巻き需要なども期待できるため、当面は強含みの展開になるとみられる。

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◆鶏鳴新聞2016.1.5発行

結束してTPP対策の実現を

 鶏卵・鶏肉は、飼料効率が良く、栄養的にも、栄養や機能性の面でも優れていることが認められ、加えて国産に対する堅調な需要に支えられて価格も安定してきた。この良好な需給環境を長く持続させ、国内の鶏卵・鶏肉産業の成長・発展に結びつけなければならない。
 当面の脅威は、鳥インフルエンザ(AI)と輸入鶏卵・鶏肉であるが、AIについては各自がバイオセキュリティを強化し、万全な防疫対策を徹底する必要がある。
 輸入対策としては、それぞれが品質とブランド力で消費者から支持される国産鶏卵・鶏肉を確立するだけでなく、国などが経営安定対策の拡充、コストダウンにつながる合理化・省力化の生産・流通設備への支援、国際価格に比べて高い飼料や生産資材の規制撤廃などを強化する必要がある。
 日本や米国、オーストラリアなど12か国は去る10月5日、関税撤廃など包括的な市場アクセスを内容とするTPP(環太平洋経済連携協定)交渉で大筋合意した。TPPは、2年以内に全参加国の議会で承認されるか、GDPの合計が85%以上を占める6か国以上で承認されると発効するため、国際化への対応は待ったなしだ。
 合意内容では、鶏卵・鶏肉の関税は一定の期間を置いて全廃される。中でも、鶏卵の凍結卵白と卵白粉は発効時に即時撤廃され、凍結全卵と凍結卵黄、卵黄粉は毎年段階的に引き下げて6年目に撤廃される。
 ゆで卵を含むその他殻付卵は毎年段階的に引き下げて11年目。生鮮・冷蔵殻付卵は発効時に20%削減して6年間据え置き、7年目から毎年段階的に引き下げて13年目。全卵粉は発効時に50%削減して6年間据え置き、7年目から段階的に引き下げて13年目にそれぞれ撤廃される。
 鶏肉は、その他鶏肉は段階的に引き下げて6年目。骨付きももは段階的に引き下げて11年目。鶏肉調製品の牛・豚肉を含まないものは段階的に引き下げて6年目。牛・豚肉を含むものは段階的に引き下げて11年目にそれぞれ撤廃される。
 当初、政府は、鶏卵・鶏肉とも関税撤廃により加工用や業務用で輸入量が増加し、「鶏卵は国内生産量が17%、鶏肉は同20%程度の減少」が見込まれるとしていたが、大筋合意後に発表した影響分析では、TPP参加国からの輸入品は、用途が限られ、国産品との直接的な競合はほとんどないとして「影響は限定的」との見方に変更。長期的には「価格の下落も懸念されることから、生産性向上などの体質強化策の検討が必要」としているが、重要5品目に含まれていない鶏卵・鶏肉については、具体的な対策を示していない。
 鶏卵業界では、「鶏卵は1〜2%の需給変動で価格が乱高下して利益がなくなってしまう中で、液卵や粉卵の輸入が増えれば鶏卵産業は壊滅的な状況になる」とし、鶏卵生産者の経営安定対策と、国際化に対応できる生産・流通施設整備へ支援を求めている。
 鶏肉業界も、「現状ではTPP加盟国からの輸入量は少ないが、短期的には豚肉の低級部位は鶏肉と競合するためその影響が心配される」とし、生産・流通施設整備への支援充実や、食鳥検査手数料の公的負担、加工肉製品・外食での原料原産国表示の義務化を求めている。まさに今年は、これらのTPP対策の実現へ向け、鶏卵、鶏肉業界の結束した働きかけが問われる一年となる。

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◆鶏鳴新聞2015.10.15発行

TPP大筋合意 鶏卵肉の関税撤廃

 TPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加する日本や米国、オーストラリアなど12か国は、9月30日から10月5日まで米国ジョージア州アトランタで開催した閣僚会合で、包括的な市場アクセスなどで大筋合意した。
 農畜産物の重要5項目(米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物)は、一定の関税を維持するなどの影響緩和策が導入されたが、重要5項目に含まれない鶏卵・鶏肉の関税は一定期間を置いて撤廃される。
 鶏卵の凍結卵白と卵白粉(現行8%)はTPP発効時に即時撤廃
 凍結全卵(21.3%または51円/キログラムのいずれか高い方)と凍結卵黄(20%または48円/キログラムのいずれか高い方)は毎年段階的に引き下げて6年目に撤廃。
 ゆで卵などのその他殻付卵(21.3%)は毎年段階的に引き下げて11年目に撤廃。
 生鮮・冷蔵殻付卵(17.0%)は発効時に20%削減して6年間据え置き、7年目から毎年段階的に引き下げて13年目に撤廃。
 全卵粉(21.3%)は発効時に50%削減して6年間据え置き、7年目から段階的に引き下げて13年目に撤廃。
 卵黄粉(18.8%)は段階的に引き下げて6年目で撤廃。
 鶏肉のその他鶏肉(11.9%)は段階的に引き下げて6年目で撤廃。
 骨付きもも(8.5%)は段階的に引き下げて11年目で撤廃。
 牛豚肉を含む鶏肉調製品(6.0%)は段階的に引き下げて11年目で撤廃。その他の調製品(6.0%)は段階的に引き下げ6年目に撤廃。
 家きん肉(9.6%)や七面鳥肉(3.0%)は発効時に即時撤廃など。
 重要5項目の中で、米は、関税を維持する代わりに特別輸入枠(SBS方式、発効13年目以降は米国=7万トン、オーストラリア=8400トン)を新設し、米国産米の中粒種・加工用枠優遇策(6万トン)を新設する。
 麦は、国家貿易制度を維持するが、事実上の関税である政府管理経費相当のマークアップ(売買差益)の徴収を45%削減する。飼料用小麦や大麦は、食用への横流れ防止措置を講じた上で、マークアップを徴収しない民間貿易に移行させる。
 牛肉は、現行38.5%の関税を段階的に削減し、16年目以降は9%まで下げる。TPP参加国からの輸入量が一定水準を超えた場合にはセーフガード(緊急輸入制限措置)を導入するが、16年目以降4年間、セーフガードの発動がなければ廃止する。
 豚肉は、差額関税制度を維持するが、範囲を縮小し、低価格帯豚肉の従量税は、現行1キログラム482円を125円に下げ、10年目に50円にする。高価格帯従価税の4.3%は2.2%にし、10年目以降に撤廃。関税削減期間中は、輸入急増に対するセーフガードを11年目まで確保するが、12年目に廃止。
 乳製品では、現行の国家貿易制度と、枠外税率を維持するが、脱脂粉乳やバターの低関税輸入枠をニュージーランドと米国、オーストラリア向けに設定する。チェダーやゴーダなど一部のチーズの関税は16年目、ホエイ(乳清)は21年目までの長期の関税撤廃期間を設定するなど。
 関税撤廃により鶏卵・鶏肉とも加工用や業務用で輸入量が増加すると予想される。政府の試算でも、鶏卵は国内生産量が17%、鶏肉は同20%程度の減少が見込まれている。鶏卵では平成26年の成鶏めす羽数約1億4000万羽のうち約2300万羽分、鶏肉ではブロイラーと地鶏の年間出荷羽数約6億9000万羽のうち1億3400万羽分の需要がなくなる計算で、影響緩和策などが必要とみられる。
 TPPは、全参加国が2年以内に議会承認するか、またはGDPの合計が85%以上を占める6か国以上が合意すれば発効する。

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◆鶏鳴新聞2015.09.25発行

初発事例は渡り鳥から 韓国のAI疫学調査委員会

 韓国の農林畜産食品部は9月3日、前日の2日に鳥インフルエンザ(AI)の疫学調査委員会を開き、2014年と2015年に発生した高病原性AI(H5N8亜型)の疫学調査・分析と今後の展望などについて討議したことを公表した。
 農林水産省の仮訳によると、2014年1月の初発事例は渡り鳥によって発生し、14年9月の再発事例は、1月発生からの残存ウイルスと、14年下半期に新しく飛来した渡り鳥によって追加発生したものと推定。農場間伝播は、車両、畜主および家きん産業従事者、野生鳥獣類、近隣伝播、家きん販売者、家きんの移動などの様々な要因によって他の家きん飼養農家に伝播したものと推定した。
 韓国では、今年6月10日以降、国内の発生は確認されていない。疫学調査委員会では「AI撲滅のための強力な防疫措置をとっていることから、既存の発生に伴う残存ウイルスによる追加発生の可能性は低い」と判断したが、「今年の米国、台湾など世界的なAIの発生状況と、渡り鳥の飛来経路などを勘案すると、今年の冬も渡り鳥を介したウイルスによって追加発生する可能性が高いことから、AI再発防止のために、家きん飼育農家などは最善を尽くさなければならない」と呼びかけた。

中国、台湾では8月もAI発生

 中国では、8月に江蘇省のがちょうでH5N2亜型、広東省の家きんでH5N6亜型の高病原性AIが確認されているほか、台湾の雲林県で8月27日にH5N2亜型の高病原性AIの発生が報告され、2015年1月以降952件、506万415羽の家きんが殺処分されている。

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◆鶏鳴新聞2015.10.05発行

1人当たり鶏卵消費量 日本は329個で3位 IEC年次統計より

 国際鶏卵委員会(IEC―セザール・デ・アンダ会長)は、9月20日から24日まで、ドイツの首都ベルリンのホテル・アドロン・ケンピンスキーで「IECグローバル・リーダーシップ会議2015」を開き、世界44か国から約460人が参加。日本からも22人が出席した。会場では、各国のレポーターが報告した2014年の鶏卵の生産量、消費量、飼養形態、飼料価格、生産コストなどをまとめた『2015年IECアニュアルレビュー』(年次統計)を公表した。本紙では、とこれまでのレポートも参考にしながら各国の鶏卵消費量と飼料価格、鶏卵生産コストなどをまとめた。今号では鶏卵消費量と飼料価格、生産コストの概略を紹介する。

鶏卵消費量

 IECへの報告がある各国の2014年の1人当たり鶏卵消費量(殻付換算)は、トップ3の順位は変わらず、1位のメキシコは前年比5個増の352個、2位のマレーシアは12個増の343個、3位の日本は前年と同じ329個となった。
 直近2年分の数字がある30か国のうち、前年より増加したのは14か国、減少したのは10か国。30か国合計では111個増加した。
 消費量が10個以上増減したのは、4位のロシア(65個増)、5位の米国(10個増)、6位のアルゼンチン(12個増)、11位のドイツ(13個増)、24位のペルー(16個増)、27位のキプロス(32個増)の6か国。45個減の中国など数字のゆらぎが大きい国もあるが、飼料効率に優れ、栄養豊富なたんぱく源である鶏卵の世界的な消費増加傾向が反映されているとみられる。
 アルゼンチンの消費量は、過去10年以上にわたり一貫して上昇傾向で推移し、トルコも年間200個台に迫っている。ペルーはデータが出てきた2010年から、5年間で30個増加した。
 アメリカン・エッグ・ボード(AEB)や米国鶏卵栄養センター(ENC)などを通じて、強力な鶏卵消費拡大活動を進めている米国は3年連続の増加。12位のカナダは2007年以降、右肩上がりで推移し、同年からの累計では51個増加している。

飼料価格と生産コスト

 主要27か国の飼料価格の平均は397.89ドル。シカゴ相場の下落などで前年より約40ドル値下がりしたが、スイスとニュージーランド、オーストラリア、ペルーの4か国はドルベースで値上がりした。
 掲載国の中で飼料価格が最も安いのは、アルゼンチンの約234ドル。前年最も安かったインドも約20ドル安くなった。最も高いのはスイスの約683ドル。前年最も高かった日本はドルベースで値下がりしたが、円安の影響で、円ベースでは前年を上回る高水準となった。
 1ダース当たりの鶏卵生産コストが最も安いのはインドの0.60ドル、次いで米国の0.69ドル。最も高いのはスイスの3.15ドル。日本は6番目に高い1.41ドルとなっている。

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